公務員との兼業で小説を書いていたら婚約相手が「他に気になる人がいる」と言い出したので別れたついでに離職して面白そうだから大学に通い直して教員免許を取りつつ教採を受けたら合格したのでまた兼業に戻りそうな話


前置き


お世話になっております、くさかべかつ美です。

 

あーもうタイトルだけでお腹いっぱい。(脱魂)

 

 

さて、12月21日に小学館ジュニア文庫さんの方から新刊『愛情融資店まごころ』を出させて頂くことになりました。

初めての児童文庫で、かつ、今回から名義を変えているので、色んな意味でゼロからスタートです。

ということで、このタイミングで改めて自己紹介させて頂き、興味を持ってくれる人が増えればいいな、と思っています。

 

愉快な感じでやるから。安心して。(信頼と実績)

 

あと、まれによくあるのですが――、

私の人格について、こういう文章での人格とリアルでの人格とを同一視なさる方が時々いらっしゃいますが、誤解です。

この手の文章は当然ながら読み物として面白くなるよう脚色・調整しておりますので、実際に今これを語っているような人格の人間がリアルに存在している訳ではございません。

この記事内における「私」は、「くさかべかつ美」というよりは「ブラキオくさかべピテクス」くらいの想像上の概念としての語り手なのだと思って頂ければ幸いです。

それを踏まえた上で、先日の旅行記のことについて言及するのならば、あれも当然脚色の上に成り立ったフィクションと考えるのが妥当でございます。

 

感じ方には個人差があります。

 

 


2015年のこと


さて、時を遡ること3年半前。

2015年5月当時、私は北海道の市役所の正職員として働いておりました。

あの時は確か、『クズが聖剣拾った結果』の3巻が出た直後で、4巻を書いていた頃だったと思います。

 

念のために言及しておきますと、地方公務員は、地方公務員法第38条により「任命権者の許可を受けなければ(中略)報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない」となっていまして、副業が禁止されている――というのは有名な話かと思います。

ただ、冒頭にあるように、「任命権者(この場合は市長)」の許可を受ければ副業OKとなりますので、私もこれに倣い、人事部門を通して任命権者の許可を得ながら商業小説を書いていました。

当時の私の部署の先輩や上司は皆さんご理解ある方々ばかりで、

 

「お前がプライベートで何やろうが知ったこっちゃねえよ。
 業務に支障が出たらお前が免職になるだけだし(ド正論)

 

というスタンスでしたので、とてもスムーズに話を進めて頂きました。

許可書類のハンコも、皮肉や嫌味を言われること無く毎回押して頂いていたので、これについては有難いという言葉しかありませんでした。

 

ただ、許可を得るためには、お母さんくらいの年齢である人事のご婦人に対し、概要を前もって説明する必要がございまして、

 

「くさかべさん、あたしよく知らないんだけど、ライトノベルっていうのは、こう……えっちなものなの?(ピュア)」

「うーん……えっちなものえっちじゃないものがありますね(素直)」

 

という地獄みたいな会話がありました。

 

 

そんな中、当時の私は大学時代から7年くらい交際している女性がおり、「は~、そろそろ結婚すっぺかなあ」みたいな感じで生活していました。

ただ、すでに私は北海道の市役所、相手は東北の町役場にそれぞれ正職員として勤務しており、どう考えてもどっちか辞めなくちゃ無理、みたいな状況でございました。

で、色々と話し合った結果、私が辞めて東北で新しく働けばいいんじゃねーべか、というところに落ち着きまして、5月の連休を使って相手の実家に赴き、

 

「来春に結婚します」

「いーよいーよ」

 

という、いたって普通の報告をご両親にさせて頂き、いたって普通のご許諾を頂いておりました。

 

その後は私が職場に事情を説明し、翌年3月いっぱいで辞める旨を伝え、辞表なんかも書きつつ、昼休みに転職サイトを眺めて過ごしていた訳ですが――。

7月に入ったくらいの時期に、交際相手が電話をしてきてこう仰いました。

 

「じつはあたし、職場に気になる人がいるんだけど」

 

この言葉を最初に聞いた時は、なんかこう、仕事中にお空と交信していたり、パソコンにお茶を飲ませようとしたりするような、文字どおり「(言動が)気になる人」が新しく役場に来たのかなと思ったのですが、どうやらそういうことではなく――。

よくよく確かめてみれば、普通に「現在恋愛対象の男がいる」という意味でした。

 

 

24.png

まるでわからない(まるでわからない)

 

 

今自分で書いてみても、これが小説なら展開が雑すぎるかな~と思います。

こんなあらすじで編集者に投げても「さすがに唐突すぎる」と言われてボツるんじゃないでしょうか。

事実は小説より奇なりとはよく言ったものです。

 

どうして私の周りの人は、私の人生を小説より面白くしようとしてくるのか。

 

おかげ様で小説も人生も改稿が多い。(迷路)

 

 

さて、その後、さすがに私も

「これは意外と緊急事態なのでは?」

と思い、連休を利用して何度か東北に行って顔を合わせて話をしたのですが、まあ無理だよ。

確かその年の9月か10月くらいに、「こらもう無理だな! バイバイ!」とこちらから切り出した覚えがあります。

文面だと淡々と進んでいますが、実際はもうちょっと色々エグいです。

 

無題2.png

極限までエグみを取り除いたイメージ図

 

 

――ということで、めでたく独りとなった私ですが、

そう言えばもう職場に辞めるって言っちゃってんな

という問題が残っていました。

そもそも結婚のために辞めようと思っていた訳ですから、結婚どころか交際相手もいなくなった時点で、特に辞める理由も無くなっていました。

どうやったらこのことを面白く伝えられるかなと考えつつ、でもやっぱりシンプルに言うのが一番面白いかなと考えた私は、仕事中に先輩から雑談を振られた際にこう切り出しました。

 

「ここ最近で一番面白い話があるんですよ。聞きます?」

「おう、なんだよ」

「めっちゃめちゃ面白いですよ。そんなことある? って感じです」

「あ? あー……」←ここで既に察している先輩凄い

「分かります?」

「お前まさかぁ……」

「別れたんすよ~~~」

「ばひゃひゃひゃひゃひゃひゃ(爆笑)」

 

今まで生きてきた中でこの時が一番面白かったです。(エンターテイナー)

 

その後、課長から

「じゃあ辞めねーの?」

と聞かれましたが、私は

「いやー、辞めます」

と答えていました。

春先に辞めると言った時点で、すでに翌年以降の仕事へのモチベーションが無くなっていたんだと思います。

 

で、この時にはもう、辞めたら空いた時間でとりあえず好きなように小説書こう、と思っていました。

もともと結婚後の生活に備えた費用として個人的に貯めていた分のお金があったのですが、もう使う目的も無くなっていたので、「じゃあこれ自分のために使って2、3年好きなようにやるか~」という感じだったと思います。

 

そんな訳で、予定どおり2016年の3月一杯で仕事を辞めて、5月には出版社にもそれなりに近い関東のボロアパート(月3万5千円)に住み始めました。

市内で殺人事件が起きたり、昼間に喧嘩の怒号が聞こえてきたり、夜中に知らない外国人が部屋に押しかけてきたりする以外は平和な街で、自由気ままに暮らしていました。(2018年110番通報実績2件)

 

 


教員免許のこと


自由気ままにやると言っても、自分が文筆一本で生きていく未来など到底想像できませんでしたし、その方向で行ったら野垂れ死ぬという実感はあったので、とりあえず手に職を付ける必要がありました。

そこで候補に挙がったのが教員です。

理由は色々ありますが、真面目な話は面白くなさそうなので割愛します。

もともと学校教育に興味があったんだろうな、というのはこれとかこれからお察し下さい。

 

一つだけ創作と関わりそうなところを挙げるとすれば、いつまでも「自分が子供だった頃を思い出して書く子供像」を続けるのは限界があるなと感じたことでしょうか。

ラノベにしろ児童文庫にしろ、現代の子供に向けて書く訳ですし、私の思い出の中にある古い感性を押し付ける訳にも行かず、そこは常にアップデートが必要なのかなと思います。

そういった意味では、常に「現代の最新の子供」を相手に仕事ができる環境というのは何物にも代えがたいことなのではないか、というようなことを考えています。

もっとも、そんな環境になくとも凄いものを作る人は多数いらっしゃる訳ですが、多分私はそういう人間ではないです。

 

ということで、一年くらいそこら辺のことを考えた後に、じゃあ金のあるうちに行動した方がいいなと思い、2017年の春に通信大学に入学しました。

約10年前に大学にいた頃は、教職課程取ろうかどうか考えて結局取らないまま卒業したので、今考えればあの時取っときゃ良かったな、という感じです。

 

ちなみに、入学する時の必要書類として、大学時代のゼミの先生に推薦状を一筆書いて頂かなくてはいけませんでした。

数年ぶりに先生に対し、「〇〇様へ」と、お願いのメールを送ったところ、

「教員に送る場合は『〇〇様』ではなくて『〇〇先生』としなさい」

と、宛名の面でお叱りを頂戴してしまいまして、それならばと今度は

「我が偉大なる恩師〇〇先生」

の宛名で返したのですが、後日、実際に会ってお話しした際に、

 

「君は本当にふざけた人間だ」

 

と、割と低めのトーンで注意されました。(業‐カルマ‐)

皆さんはきちんと「〇〇先生」という宛名で、メール・お手紙を送りましょう。(初歩)

 

そうして、今年(2018年)には実際に中学校で3週間の教育実習もさせて頂いて、大変勉強になりました。

こういった体験が原稿の血肉になってくれればいいなと今でこそ思いますが、実習中はそんなこと考える余裕はありませんでした。大変。

そう言えばこの時期、自分以外にも免許取ってる同業の人いるんだな、というのを見かけて面白かったです。

 

「この作品」=『ペンギンは空を見上げる』(東京創元社)です

 

 

 

さて、教育実習の後、夏に採用試験を受け、秋に合格通知を頂いたので、今は慌てて準備を整えているところです。

免許取得の単位の方は恐らく問題ないと思うのですが、万一とりこぼせば普通に採用流れちゃうし……(もっとも、教員採用試験は合格しても登録名簿に載るだけであって、実際に採用されるかどうかは直前になるまで分からないらしいですが)。

 

そんな中、友人の作家さんたちは私を温かく応援してくれました。

 

Screenshot_2018-11-29-18-30-10.png

イジメはありませんでした

 

 

事実は小説より奇なり。(フラグ)

 

 


ここ数年の小説のこと


と、そんな感じで動いています。

来春から忙しくなる部分はあると思いますが、小説のためのインプットとして前向きに捉えていければいいかなと思います。

 

それと、名前を変えたせいもあってか、以前に「ライトノベルもうやらないんですか」と聞かれたことがあったのですが、そんなことはないです。

前にツイッターでも言いましたが、講談社ラノベ文庫さんで担当さんがついてまして、そちらでも動いております。

 

ここ数年で最も重きを置いていた活動は、自分のやりたいことと、それを原稿として求めているレーベルがあるかどうかのマッチング作業でした。

と、難しく言いましたが、単純に言い換えれば「プロアマ不問の賞に原稿を出す」というだけの話です。

 

2014年のデビュー当時から、すでに自分自身の書くものや自分自身の今後などに対し疑問を覚えることが多くあり、色んな視点が欲しいなと思ったのです。

それは、私自身がライトノベルもしくはその他の新しいジャンルに挑戦したいという意味でもそうですし、他社・他レーベルの多くの編集者さんの見方を知りたい、という意味でもあります。

どれが良い・悪いではなく、「何が自分に合っているのか」と「自分はどう変わっていくべきなのか」を丁寧に確かめていきたい、という感じでしょうか。

そのためには、やはり1社1レーベルとのお付き合いだけでは判断材料が足りない、という状況がどうしてもありました。

 

そんな訳で、他社賞・他レーベル賞への投稿に関しては、デビューレーベルの電撃文庫の担当さんにも話を通してご理解を頂いていたところでしたので、2017年から始めていました。

結果的に各小説賞の経過の中で、小学館ジュニア文庫さん、講談社ラノベ文庫さんとのお取引を開始することができまして、各社様のご理解につきましては大変ありがとうございます。

 

さて、冒頭でも申し上げましたが、今月、小学館ジュニア文庫さんから『愛情融資店まごころ』が発売となります。

それにあたり、ジュニア文庫さんの編集者さんには大変お世話になりました。

思えば、投稿作が商業化されるというのは、今回が初めてです。

登場人物から話の構造・ストーリー等に至るまで、改稿箇所はほぼ全てではありますが、最初に有った物語のコンセプトを私と一緒に見据え続けて下さった編集者さんには、感謝申し上げるばかりです。

イラストに関しても、いつか是非にと思っていた方とお仕事をご一緒させて頂くことができまして、誠にありがたい限りです。

この度は、私などにとっては過分なほどに貴重な経験を積ませて頂きました。ありがとうございます。

詳細情報が出ましたら、改めてサイトの記事やツイッターでお知らせいたしますので、その際は是非ご覧下さい。

 

それでは、今後とも何卒よろしくお願いします。

今は久々にラノベの原稿をやってます。

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