お世話になっております、くさかべです。
年末、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
私は姉夫婦の家で姪の面倒を見るのを手伝っています。
赤ちゃんというのはご飯を食べるだけで褒められていいな、と思ったので、
「俺だって一人でご飯くらい食えらあ!」(江戸っ子)
と啖呵を切ったら、家族の食卓に戦慄みたいなのが走りました。(生後三十年)
今回、このエントリが今年最後のサイトの更新となります。
どういう内容にしようかなとも考えましたが、やっぱり楽しいのが良いよなということで、前回好評だった旅行記みたいな感じで、先日の電撃文庫忘年会の翌日に作家諸氏と遊んだ時のことを書こうと思います。
その前に、少しだけご挨拶にお付き合いください。
今年は、電撃文庫さんから『異世界JK町おこし』、小学館ジュニア文庫さんから『愛情融資店まごころ』に、それぞれ原稿を提供させて頂きました。
お仕事に関わって頂いた方々には、格別の感謝を申し上げます。
デビューして4年が経ちますが、上記2社との関わりを経て、やっと私自身、私のスタンスが見え始めたような気がします。
今年は私自身、色々なことがあり、また、今後のことについても考えを深めることができて、何だかんだで良い年だったんじゃないかなと思います。
私が関わったお仕事で、少しでも多くの読者さんの笑いや幸せを増やすことができればとても嬉しいです。
来年も頑張ります。よろしくお願いします。
『まごころ』に関しては発売間もないので、お正月明けも宣伝ツイートすると思います。
あ、小学館のサイトの方でアンケートと感想頂ければ幸いです。毎月抽選で図書カードあたりますので!
と思ったら、もう1件レビュー下さった方いらっしゃいました。ありがとうございます。
みなさまもぜひぜひ……。
では本題。
さて、今年は21日に電撃文庫の忘年会がございまして、翌日は仁科さん、旭さん、よもぎさん、そして私の四人で都内を散策することとなりました。
一週間ほど前まではサンシャイン水族館でも行こうかという話だったのですが、事前にツイッターで教えを募ったところ、他の作家さんたちから色々とお勧めスポットをご教示頂きました。
特に、古宮さんからはお台場近辺の詳細な情報を頂戴しまして、誠にありがとうございました。
古宮さんによる「お台場の科学未来館とトリックアート迷宮館が良いですよ!」との有力な情報を基に、事前に仁科さん、旭さんと計画を立てたところ、行き先はそのとおりお台場に決定。
決め手は「バーミヤンがあるから」で、結局、科学未来館とトリックアート迷宮館には行きませんでした。(多角的な思考)
まず、22日当日の朝のお話から始めますと、私以外の三人は皆さん都内のホテルに泊まっていて、私だけが千葉のアパートから出発して彼らのホテルで合流するという流れでございました。
当然、そんな仲間外れの状況でこちらのテンションが上がる訳もなく、私は待ち合わせに10分の遅刻をしてロビーに到着しました。
もっとも、今回の集まりには、年齢から言ってもデビュー年から言っても後輩にあたるよもぎさんがいらっしゃったので、もしも私が非難されるようなことがあれば、全てよもぎさんに罪を被せれば丸く収まるなあ、と考えていたのでそこまで罪悪感はありませんでした。(犯罪係数オーバー100)
ロビーに行くと、すでによもぎさんが待機しており、
「僕寝たの朝七時ですよ。三時間前。それなのにちゃんと来てる。それに対してくさかべさんは? 遅刻? は?」
と、超速で先手を打ってきました。
今までのお付き合いの中で、先手を打つことの重要性を学んだのでしょう。
要らない知恵を付け始めたなと思いましたが、後輩の成長を誠に喜ばしく思います。
これからは敵だ。
さて、四人みんなが揃ったところでお台場に向けて出発。
「じゃあくさかべさん、電車は何線に乗ればいいんですか?」
いきなり仁科さんが尋ねてきました。
「先頭は任せましたよ。くさかべさん以外、我々、地方民ですから」
私が方向音痴であることはこれまでの付き合いから確かなはずなのですが、誰も先導の責任を取りたくないのか、みんな仁科さんの意見に賛同しました。
ちなみに私は今年の秋に、「たまには別の道から行くか」と散歩にアドリブを利かせたところ、三年住んだ街で一時間迷った実績があるのですが、みんなの士気を下げないために黙っておきました。
大船に乗ったつもりでいろ。(タイタニック)
まあ、直後に山手線の乗り換え口で早速方向間違ったんですけどね。
「くさかべ、ワンアウト~」
と、後ろからみんなの断罪が聞こえてきます。
今ここでマジギレしてコールドゲームにしてやってもいいんだぞ。
スリーアウトまで私が耐えると思うな。(時短レシピ)
そうして、互いに牽制し合う中、無事にお台場に到着。
久々に、等身大ユニコーンガンダムを拝むこととなりました。
「何ですかあれ? パトレイバーじゃないですか」
言ったのはよもぎさんです。
周囲を見知らぬガンダムファンで囲まれているであろう状況でよくそういうこと言えるなと思いました。
でも、すぐ横で私が「撃てませえぇ~ん!」ってバナージのモノマネしてるんだから、まずはそっちに言及して。
会話初心者か? 人と会話するの初めてなの?
その後、お台場のアクアシティに入ると、旭さんがお金をおろしたいと仰いました。
地図からATMを探し、無事に見つけるも、
「ゆうちょじゃない……」
とのことで、旭さんが明確に拒否の意を示しました。
「ゆうちょじゃなくてもいいでしょ。おろしてこいよ」
みんなが口々に言います。
しかし、旭さんの意思は変わりません。
「やだやだ! ゆうちょじゃないとやだ!」
「何でそんなにゆうちょにこだわるんですか」
「よそだと手数料がかかるやんけ!」
「数百円でしょ。早くおろしてきて」
「やだ! 小生やだ! ゆうちょ見つけろ!」
基本的に、私たちの旅行は「他人に迷惑をかけることを省みない」という鉄則があるので、意外とこういう言動は許されます。
ただ、それは弱みを見せることと引き換えでもあるので、今後、旭さんは街でゆうちょを見かける度に私たちから「ゆうちょありますよ(ニチャァ…)」と耳元でささやかれ続けることになります。
旭さんが金欠で喘ぐ中、ちょうどアクアシティではアイス万博が催されており、話題のロールアイスクリームのお店もございました。
最近話題のこれ↑もありました。
よもぎさんが「これ最近有名なやつですよね? クルクルするやつ」と言い、かなりワクワクし始めました。
なので、四人揃ってその店でロールアイスを買ったのですが、店員さんがやたらフレンドリーで、めっちゃ話し掛けてきます。
「みなさん今日はどういう集まりなんですか?」
と聞かれましたが、誰も答えません。
多分みんな当事者でありながら、「マジでこの集まり何なんだろう」って思ってたんだと思います。
何が楽しくてこんな殺伐とした集まりができあがるんだよ。(多様性の尊重)
店員とのコミュニケーション不全を経て、いざ実食。
私は「緑茶なんちゃら」みたいな名前のアイスを注文したのですが、なんと、私の前に注文した三人はみんな「クリスマスなんちゃら」みたいな万博限定メニューを頼んでいました。
一人だけ違う……
こうなればもう、成されることは決まっています。
そう、蹂躙です。
「何で普通のメニュー頼んでんだよ。ここは限定メニューだろ」
「くさかべさんいっつもそう。そういうとこ」
「一生茶葉食ってろ」
結束したら本当に強い。
チームワークが段違い。
振り上げた拳ぶつける場所を常に探し続けるのやめて。
そうして、若干動揺した私がアイスをテーブルにこぼす中、よもぎさんがある質問を呟きます。
「結局、このクルクルしたの何なんですかね?」
????
時が止まりました。
非常に失礼ながら、私は問いに問いを返します。
「あの、よもぎさん、今、なんと?」
「さっき鉄板でクルクルしてたこれ、結局なんなんですかね? クレープ?」
「あの、これがアイスですよ? アイス本体」
「えっ?」
ガチのやつだ。
「よもぎさん、逆に、今までこのクルクル、何だと思ってたんです?」
「何かな~、って思って見てました」(思考停止)
結構冗談抜きで、他の四人みんなドン引きしてました。
よもぎさん、お店のおねえさんに「このクルクル何ですか」って聞かなくて本当に良かった。
胸を撫で下ろしつつ、お昼は本命のバーミヤンへ。
ファミレスの中で一番おいしい中華といっても過言ではない。
むしろ専門店よりおいしいまである。
仁科さんのお気に入りはバーミヤンのラーメンなのですが、今回、みんなも喜んで食べていました。
私以外。
誤解が無いように申し上げておきますと、私も好きです。バーミヤンのラーメン。
しかしですね。
料理が運ばれて来た際、みんなで手分けして人数分の箸をそれぞれ分配していたのですが。
私にだけ、何故か誰も箸をくれなかったんですね。
私の席、箸の置いてあるところから一番遠かったので、誰か取ってくれるだろうなと思ってたら、何故かね、誰も、はい。
でも、こんなことで怒ってはなりません。
皆さんがたまたま、偶然、私に箸が行き渡っていないことに気付かなかっただけです。
だから私も、棘のある言い方をしてはいけない。
「箸来てないんだけど」とか、「箸取って」とか。
ダメですよ。空気悪くなるから。
だから、私はあくまで自然に。日常会話として箸のエピソードを組み込むことにしました。
「皆さん、箸って知ってますか? 凄い便利なんですよ、箸って」
皆さん一瞬ギョッとしたような顔をしましたが、あまりに話題が核心的だったので、驚いたのでしょう。
――普段何気なく使っていた箸が便利? 思ってもみなかった。意識していなかった。
そんな思考が手に取るように分かります。
「箸の何が凄いって、素手で食べ物を掴まなくていいんですよ。このラーメンとかも、素手だったら絶対熱いでしょう?」
でも箸さえあれば大丈夫。箸って、すごい。箸って、つおい。
「手が熱くなってもお冷やに手え突っ込めば大丈夫ですよ」
そんな反駁を繰り出してきたのは仁科さんでした。
私の「箸すごい理論」が「お冷やで帳消し理論」に破壊されていきます。
それをきっかけとして、テーブルのムードは「意外と箸なくても大丈夫」色に染まっていきました。
「韓国だと、箸って銀色のやつなんですよ」
「箸って、森林破壊の元凶みたいに言われることがあるんですよ」
しまいにはこんな具合に、かなり低レベルの箸トリビアが繰り出される始末。
私が言いたいのはそういうことじゃないんです。
私はただ、お箸が欲しいんです。
お箸が便利なら、くさかべさんもお箸使って便利に食べたいよねって――。
そういう優しさが欲しいだけなんです。
いつの間にか、私のそんな想いが口に出てきていました。
みんなに、ただ気付いてほしかったっていうこと。
でも、「箸ないんだけどぉ!?」って言ったら空気が悪くなるから――。
だから私は――。
「うるせえなあ! てめえが食わねえから器が溜まって邪魔なんだよ! さっさと食え!」
仁科さんが私の話を遮って、箸を放り投げてきました。
他のみんなは、すでにマーボー豆腐や天津丼に夢中。
もっと私の話を聞こうよ。(提案)
そうしてどうにかこうにか腹を満たした後は、お台場たこ焼きミュージアムへ移動。
もうみんな大してお腹空いていなかったのですが、よもぎさんが
「たこ焼きなら無限にいけますよ」
と言い出したので、何かよく分かんないけど行く流れになりました。
「たこ焼きなら無限っしょ?」とか「逆にみなさん、たこ焼き無限にいけないんですか? っかー!」とか、よもぎさん、この時だけとてもハイテンションでした。今思えば、睡眠時間三時間でしたから、燃え尽きる前の最期の輝きだったんだと思います。
私「本当に食べれる? 本当に無限?」
よ「無限は無限ですよ。絶対いけます」
私「嘘つかない? 証拠は? 無限に食べれる証拠」
よ「証拠はないです」
私「普通の会話すんな」
結局、行ったは良いものの、6個入りのたこ焼きをみんなで1つずつ食べて、よもぎさんだけ3つ食べる――みたいな面白くも何ともない結果でミュージアムは終わりました。控えめに言ってうんこ。
その後は、かねてよりの懸案事項であった旭さんの「ゆうちょATM探し」が始まりました。
ゆうちょを求めてお台場を散策する私たち。
先頭はすでに私から仁科・旭ペアに移っていましたが、この二人、めっちゃ道に迷いましたからね。
もうすでにアウトの累積なんて誰も数えようとしていませんでした。
それくらい右往左往。
私とよもぎさんは暇すぎて、「この土地の2LDKの部屋って家賃いくらだろうクイズ」を始める始末。
私「月12万くらいじゃないですか」
よ「お台場ですよ? 18万はいきますよ」
私「え~? いく~? 証拠は?」
よ「証拠は無いです」
私「何でさっきから全く頑張らないんだよ」
結局、よもぎさんがスマホで調べた結果、18万5千円くらいが相場でした。
くっそどうでもいい。
まあ、それでも諦めなければどうにかなるもので、無事にゆうちょATMを発見。
旭さんの財布がホクホクになったところで、この日の予定が全て終了しました。
が、さすがにこのまま終わるのもどうかということで、秋葉原を回るスケジュールを組み込みます。
行った先は秋葉原のとらのあなやアニメイト。
でも特にすることもなく。
「まだおみくじを引いていない」
とらのあなを出た直後、仁科さんが仰いました。
そうです、旅行恒例の運気比べをやっていないのです。
ということで、おみくじの代わりになるものとして選ばれたのが「ゆるきゃん△」ガチャです。
王者の風格
今回は引いたキャラクターによって運気が決まるという独自ルールを採用。
ただ、キャラごとに高低を付けるとファンから非難が殺到して炎上する、という懸念のもと、最も差し障りの無さそうな以下のルールを設定しました。
●主人公(なでしこ)は大吉。
●それ以外はふつう。
良いですね。この全方位に配慮した感じ。
みんな、私がこれをブログに書く、というのを理解してくれているので、こうした配慮を真っ先にして下さいます。
そして、ガチャの結果――。
大 吉:くさかべ
ふつう:それ以外の四人
見ました?
もってるやん。
くさかべ、めっちゃもってますやん。
キテる。
わしの今年の運気、絶好調!(残り3時間)
皆様にとって、来年がより良い一年でありますように。
来年も、よろしくお願いいたします。
(終わり)